車の運転に復帰

退院してから1ヶ月ほど週二回の外来OTで手の反復促通療法やIVESを使用したリハビリなどをずっとやっていましたが、外来の診察で主治医から「toroさんまだ運転の評価していませんでしたっけ?」と言われ、
外来OTで運転の評価(運転シミュレーター)をやることになりました。僕はそのうちやると思っていましたが主治医も忘れていた?ようです。
このシミュレーターはOT室に置いてあってやっている人を見たこともあるのですが、僕はやるのも初めてです。
まるで株のトレーダーのように机の上に3つの液晶モニタが置いてあり、机の中央にゲーム機のようなハンドルにペダルコントローラーが付いています。
ハンドルにはフォークリフトのようなノブ(ハンドルスピナー)が付いており片手でも操作できるようになっています。
僕は左麻痺なので国産車だったらハンドル操作しながら右手でウインカーも操作できますし右足でアクセルもブレーキも踏めますが、もし自分の車が外車だったり右麻痺だったりしたら改造で大変だったことだと思います。
シミュレーターは某自動車メーカー製だそうで、見た目一昔のゲームのようでポリゴンがカクカクバリバリですが、それなりにリアルです。
ですが、車や歩行者の動きがゲーム以上にトリッキーに作られています。突っ込んでくるスピードが現実の物理法則を無視したような速さです。しかし、”この車の影から絶対出てくるな”、とかある程度予測はつくので予測運転しながら慎重に車を前に進めます。
でも、交差点を右折し終わってから自転車がロケットのように車に向かって突っ込んできたのには閉口しました。当たり判定です。
やばい、運転復帰できない、と思ったのですが担当OTは「大丈夫ですよ」と言っていました。しかし本当に気をつけよう、安全運転しようと心から思いました。
シミュレーターが終わり、主治医と面談すると、「当たっちゃいましたね、運転には十分気をつけてください」と、
シミュレーターの結果からわかる「気をつけましょう」のリストを渡されただけです。別に診断書が出る、というわけではないようです。
「免許センターに適性検査を受けに行ってください」と言われ、平日に免許センターに妻に車で送ってもらいました。
更新のため何回も行った免許センターですがこんなことで行くことになろうとは。当然ですが免許センターでは杖をついて歩いているような人は一人もいません。
免許センターには「病気などで運転に自信のない人のための相談窓口」というのがあり、そこで相談すると、
脳出血による左片麻痺ですね、適性検査を行います」池袋の痛ましい事故があり厳しいことを言われるかと思っていただけに拍子抜けしました。
ということで別室に移動し車を縦にスパっと切ったような試験装置で適性検査です。
最初は「画面を見てこのバーが出たらブレーキを思いっきり踏んでください。この色のバーが出たらアクセルを思いっきり踏んでくださいバーの動きに沿ってハンドルを回して下さい」
と言われ、そのとおりにやります。次は「画面のどこかにマークが出ますので、マークが出たらクラクションを鳴らしてください。」と言われ、
結構長く感じる時間(3分くらいでしょうか)を集中してやります。集中力が試されます。「終わりました」と係官の方から言われます。
反応速度と半側空間無視を見ていたようです。
別室に呼ばれて説明を受けます
「合格です」ほっとしました。これで運転に復帰できるんだ。
「車の免許はAT限定になります、回復したら限定解除を受けて下さい」
まあ今はポルシェでもフェラーリでもオートマです。大丈夫です。
二輪車は原付でも側車付きのもの限定になります。実質上運転不可ですが免許を残すための措置だと思って下さい。回復したら試験場に来て引き起こしのテストをして下さい」
言われてみればなるほどです。大型持ちですが、今更リッターバイクとか運転する気は更々ありません。取り消しにならなかっただけ良いのでしょうか。
しかしバイクはAT限定ではありません。側車付きにしてもクラッチとかどう操作するんでしょうか?
免許証の裏面に限定事項のスタンプが押されます。次回の更新以降はこのテストは受けなくて良く、警察署でも更新できるそうです。
車を改造しなさい、ハンドルにノブ(ハンドルスピナー)とか付けなさいって言われるのかな、と思っていましたが、全く言われませんでした。
ですが片手だとカーブや駐車場の据え切りが難しいので、Amazonでハンドルスピナーを買って付けておきました(手帳で車の改造に補助が出るようですが申請が面倒なので使っていません)。
妻に助手席に座ってもらい、近所の車のあまり通らない道路で練習します。

車の運転ができるまでに良くなったんだ、という思いで感無量です。
ちょうどその頃、ニュースで”半身麻痺の人が高速道路を逆走し衝突した”というのがやっており、自分は大丈夫、というより気をつけねば、と言う思いを強くしました。