社労士試験受験

退院の1ヶ月ほど前に社労士試験がありました。毎年8月第4週の日曜日にあります。主治医は「試験など到底無理、受験料を絶対無駄にすることになるからやめなさい」と言っていましたが、
もうすでに受験申し込みを済ませていましたし(申込みは5月末締め切りで妻に手続きを取ってもらっていました)、
「ここで受かるとは到底思っていないが、1回でも断念したら来年から受ける気力がなくなってしまう、だから受験したい」と強硬に言い張り、受験の許可を渋々ながらもらいました。
「他の資格試験の受験中に痙攣して救急車で搬送された人がいますよ」と脅されましたが・・・。
社労士試験はマークシートの試験ですので一見簡単そうですが、全く覚える必要のないような数字を出したり、
受験生の誰もが知らないテキストにも載っていない運任せのクイズのような問題(しかもそれが合否に直結する)が出ており、毎年のように法改正もあるので難易度の高い試験だと思います。
合格率も低く、大抵の年度では5~6%くらいですが、直近では平成27年度の2.6%というウソのような驚くべき数字があります。26%ではありません。難関と言われる司法試験予備試験よりも低い数字です。
理系の大学を出て仕事もずっと技術系だった僕がなぜ社労士を目指そうと思ったのかは、妻の存在があります。
僕の妻は実は税理士で、家で仕事をしています。義父も士業でコンサルティングの仕事をしていたり、義兄も会計士だったりします。
義父は常々「税理士と社労士が一緒に仕事をすれば怖いものはない」と言っていました。現に義父を見ているとまだまだ現役で仕事をしています。
しかも結構時間は自由に使えるようで夫婦で旅行に行ったり羨ましい限りです。会社は今回僕を守ってくれましたが、いつまで守ってくれるかわかりません。
もし会社から見放されても、妻と一緒に仕事をやっていくことができれば、こんなに良いことはありません。ですので社労士を目指しています。
AIとクラウドで社労士に限らず士業は仕事が減るかな?とも一時思ったのですが、招かれて講演会をバリバリこなしている義兄や昨今のブラック企業報道を見る限りまだまだ大丈夫そうです。
それにもし僕が社労士になれば、僕の社労士としては一風変わった経歴はプラスになり決してAIやクラウドに負けることはない、と思っています。
さて、受験申し込みをする時に試験会場の選択があります。僕はいつも東京の日本大学まで行って受験していました。同じ社労士受験生が何千人もいるあの一種異様な雰囲気が適度な緊張感を生み良かったのですが、
こんな体になってしまっては試験のために遠出は無理です。ましてや受験締め切り時は急性期の病院から回復期病院に移ってきた直後でした。どうなるかわからないので、家の近くの会場(大学)を選択しました。
外泊許可を取り、その頃は取り上げられてしまっていましたが車椅子で受験したほうが良いと思って車椅子を病院で借り、車椅子で受験できるようにお願いをしておきました。
試験会場の大学は新しく、ある程度バリアフリーで車椅子でも大学入口から試験会場の校舎までアプローチすることができ、試験会場はきちんと車いす対応の机になっていました。
しかも僕の周りの試験を一緒に受ける皆さんは車椅子や足の悪い方ばかり30人ほどが一緒でした。ハンデを負っても資格で一旗揚げてやるぞ、と皆さんギラギラとした目をしています。
午後の択一式の試験は3時間半にも及ぶ長丁場です。トイレに行く際は監視が付き、水を飲むにも手を上げて許可をもらい監視の下飲まなければなりません。
この病気になってから集中力が落ちたような気がする僕はこの長丁場に耐えられるか心配でしたが、
なんとか試験をしているときの集中力は続き、もちろん痙攣することもなく大丈夫でした。これはのちの復職に際してもかなりの自信になったと思います。
入院している時はネットが使えなかったので自己採点ができなかったのですが、退院してから答え合わせしてみると択一式は僕が得意で得点源の健康保険法、年金2法は満点で他の科目もそれなりに取れ、
合格ラインはクリアできたと思いましたが、苦手な選択式で一般常識2科目で2点しか取れませんでした。
選択式の各科目の合格基準点は3点ですが、毎年のように救済措置(補正:2点でも合格)が選択式であるのでそれを合格発表の日まで待つしかありません。
合格発表は11月です。8月試験(しかもマークシート)なのになぜこんなに時間がかかるのでしょうか。不可解な救済措置のせいだと思っていますが実際のところはどうなんでしょうか。
官報を見るとやっぱり受験番号はありませんでした・・・。他の身体障害者の仲間の方もありませんでした(僕の周りの受験番号がなかったので推測ですが)
合格基準点の発表を見ると一般常識科目のうち社会保険に関する一般常識については救済措置がありましたが、労働に関する一般常識の方は救済措置がありませんでした。
僕は今回含め4回受験しているのですが、ここ近年は選択式の基準点割れで涙をのむことが続いています。1点の差で明暗が分かれるシビアなテストです。
よく資格スクールでは「受かるためには満点の必要はない」と言われましたが、満点を取るつもりで臨まないと、抜けや漏れが必ず発生するような気がします。
10回以上受験している人などザラにいます。早くこんな理不尽な試験に受かってしまって家族と過ごす時間を増やしたいのですが・・・。
退院して即勉強を再開しています。