障害年金の申請①

退院してしばらく通院リハをやっていたとき、社労士受験生ですから障害年金のことを知っていましたので、「障害年金を申請してみよう、これを社労士試験の合格と二本柱で復職後の目標にするぞ」と決めました。
でも病院では誰も障害年金のことを教えてくれませんでした。
主治医の先生も「toroさんは復職するから障害年金もらえないんじゃないですか?」と言っていましたので、障害年金に対する理解は病院の中においてすら進んでいないようです。
でもその時から主治医には「障害年金は働いていても受給できます。社労士の勉強をしていますからわかります。申請しますから診断書そのうち書いてくださいね」とお願いしていました。
さて、障害年金受給の進め方ですが、2つしかありません。

 

1.自分でやる
2.社労士にお願いする


社労士受験生の自分でも自信がなかったので、2.のプロに任せようかと企業の顧問社労士でバリバリやっている義母に相談しました。
すると、「私は障害年金の申請なんかやったことないし無理無理、社労士仲間でもやったことある人は私の知っている限り知らない」とのことでした。

ネットで検索して出てきた障害年金を扱う社労士にお願いするかな、と思っていたら、
義母から「報酬もったいなくない?せっかくいい機会だから自分でやってみれば?不支給だったら審査請求すればいいんだし。」と言われ、確かに社労士に頼むとお金取られるしなあ、成功報酬(2ヶ月分とか)のところが多いけど・・・。
でも勉強にもなるし自分でやってみるか!と一念発起してやってみることにしました。
ネットで見ると申立書というのが経験の無いド素人では書くのが難しいようで、診断書も不備があるとだめなようですが(不備なんて素人にわかりっこない)、申立書は自分の文章力に頼り(頼りないですが)、診断書は聞く所によると障害年金の診断書をいっぱい書いている(らしい)プロ中のプロであるリハ医である主治医にお任せすることにしました。

さて、いつ申請するかですが、基本の「障害認定日」で行こうと決めました。
別に障害認定日以降でも申請できて、年金も障害認定日までさかのぼってまとめてもらえるのですが、ファイナンス理論の”現在価値”から行くと絶対早くもらったほうがいいので、申請できる一番早いところの日である「障害認定日」に申請することにします。
前にも書きましたが脳血管疾患の場合は発症から6ヶ月で認定日になる、との知識もありましたが、やっぱりここは勉強でも習った基本で行こう、1年6ヶ月経った日に申請しよう、と決めました。
初診日から起算して1年6ヶ月というと令和2年10月30日になります。
障害認定日からまた逆算して3ヶ月前くらいに年金事務所に行って相談して必要な書類を聞いて揃えたり書式をもらっておこう、と決めました。
3ヶ月前からだったら初診日を証明する書類も申立書も準備できるでしょう、と考えたのです。
今の時代ネットがあれば必要な書類が何であるかがわかり、診断書のフォーマットなんかも日本年金機構のHPで手に入りますが、やっぱりフォーマットは年金事務所でもらったほうが無難でしょう。(申立書だけは書くのに時間がかかりそうなのでダウンロードして下書きしていましたが・・・)

 

さて、そんなこんなで届け出の手順を聞きに&フォーマットをもらいに7月初旬に最寄りの年金事務所に行きました。
年金事務所、やっつけでデザインしたような”年”のマークのところです。
ジジイになるまで用事はないかな、もしかしたら社労士になったら行くかも、と思っていましたがまさかこんなに早く行くことになろうとは。
色々調べると年金の相談で混んでいるらしく、事前に予約して行くのがベターとのことでしたが、僕は来期の予算の編成業務なんかで仕事が忙しくて(でも定時に上がらせてもらっていますが)なかなか年休が取れず、年休が取れた日には相談の予約が取れなかった(1ヶ月前には予約が埋まってしまうそうです)ので朝イチにシャッターが開く前に行って並ぶことにしました。

 

年金事務所、昔の社会保険庁です。あの悪名高き「消えた年金問題」の総本山です。保険料を取る、年金を払う、年金を記録するのすべてに不正があった悪の巣窟です。
他にも伝え聞く所によると勤務時間中に給料をもらいながら組合活動をしているヤミ専従やら、キーボードを45分操作したら15分休憩、1日5000文字まで。
とか、僕たち一般企業で働いている者からしたら到底信じられないようなルールがまかり通っていた所です。
僕は労働組合の三役をやっていたので社会保険庁自治労の方とも話す機会がありましたが、あの人達は僕たちとはちょっと違う世界の住人としか言いようがありませんでした・・・。
こちらではどんな魑魅魍魎がお出迎えか、と杖を剣代わりに気張り乗り込みました。
受付のおじさんは何やら気難しそうな顔をしています。冥府の門番、ケルベロスか!
「あのう、障害年金の相談に・・・。予約していないんですが・・・。」と恐る恐る聞いてみると、「ではお客様、こちらの用紙に必要事項を記入してこの番号でお呼び致しますのであちらの椅子に腰掛けてお待ち下さい。」
敬語!最低でもオマエ呼ばわりや呼び捨ては覚悟していたのですがお客様ですか!

最低でも2時間は待つと覚悟していましたが、20分程で番号が呼ばれたので杖をついて窓口まで行きます。

 

窓口の担当はいかにも役所にいる冷た…というかクールな感じのオバ…もといお姉さんでした。
「あのう、障害年金の相談に来たんですが・・・。」と言うと、「初めてですか?」と聞かれました。
よくわかりませんが、どうやら年金事務所の方で訪問履歴を管理しているようです。
基礎年金番号を教えて下さい」と言われたので持ってきた書類を見せます。
あ、言い忘れましたが年金事務所に行くときは基礎年金番号のわかる物を持っていく必要があります。
まだマイナンバーじゃないんですね。マイナンバーで社会保障と税の一本化をするという話はどうなったんでしょうか。
さて、その基礎年金番号ですが、年金手帳が手元にあればそれでいいのですが、僕の場合年金手帳は会社の総務に預けてしまっていた(会社員の方はほとんどそうだと思いますが)ので、日本年金機構のねんきんネットから「電子版ねんきん定期便」「被保険者記録照会回答票」をプリントアウトして持っていきました。これで良いようです。
資料を渡すと、来た来た、「初診日はいつですか?」の質問です。
待っている間耳を澄ませていると、この「初診日はいつですか?」の質問がいくつかのブースで聞かれました。
あるブースで相談していた人は「PTSDになってしまって…。」と相談していたようですが、初診日の質問には答えられていないようでした。かわいそうですが初診日の時点で国民年金か厚生年金保険の被保険者要件を問われるので仕方ありません。
次の質問は「その時は会社員でしたか?公務員でしたか?」と聞かれました。公務員は厚生年金保険でも共済ですので対応が違うようです。
基礎年金番号から調べればわかるのに・・・。と思いましたが心象を悪くするといけないので、僕は素直に「はい、会社員で厚生年金保険に加入していました」と答えました。

 

そこから担当者は奥に行って「障害年金の請求手続きのご案内」という紙を持ってきて、その記載事項を基に必要な書類の説明をされました。必要な書類は、
1.戸籍謄本:妻や子の加給年金の対象になるかどうかの判定に必要。
2.印鑑(認印でも可):脱はんこではないようです。(その後不要になったようですが)
3.請求者名義の預金通帳またはキャッシュカード:年金の振込に当然必要です。
4.診断書:当然必要ですね。
5.受診状況等証明書(初診日等の証明):これも重要ですね。
6.病歴・就労状況等申立書:これが重要ですね。
このうち5.と6.はその場で白紙のフォーマットを手渡されました。

「受診状況等証明書を書いてもらったら持ってきて見せてください。確認した上で、診断書のフォーマットをお渡しします。」と言われました。
あれ?次回はもう申し込みじゃないのか、と思いましたが僕の場合都合3回は年金事務所に行かなければならないようです。
このような事態に備えて3ヶ月前から色々動いていたのです。問題ありません。

念の為事前に診断書について相談します。窓口担当者は診断書はの日付は障害認定日(令和2年10月30日)から3ヶ月もしくは現在(初診日から6ヶ月経って症状固定)の日付のどちらでも良い、
でも障害認定日のほうが通りやすい、自信(何の?とは思いましたが)があるなら現時点での診断書でも良い。と言っていました。当然自信はないので障害認定日の診断書を準備することにします。

とまあ色々ありましたがこちらが疑問に思うことは親切に教えてくれましたし(行く前は「あーダメダメダメダメだよwこんなんじゃ!w」とか何を聞いても半笑いで適当にあしらわれるか罵倒されるかと思っていました)年金事務所やるじゃんと言った感じの印象でした。虎穴に入らずんば虎子を得ず。

さて、窓口担当者の心象を悪くしちゃいけないと思い必死に表情と言動を取り繕っていましたので、終わって出るときは麻痺が強くなり椅子から立ち上がれないトラブルが!
「大丈夫ですか?お手伝いしましょうか?」とは言われませんでした(笑)。
「椅子はそのままでいいので。」とは言われましたが。
ふぅ~これで最初の難関はクリアです。人生でこれだけ緊張したのは奥さんの実家に最初に挨拶に行ったとき以来です(笑)。

 

障害年金の申請②に続く。