外出と外泊

どこの病院でもそうだと思いますが、外出と外泊には主治医の許可が要ります。
この病院にも理容室はあるのですが、理容師さんが高齢の方で、食事メンバーの噂話によると「五分刈りと丸刈りしかできない」そうなので、
髪を切る時は外出許可をもらい外で切っていました。夏場だったので頻繁に切らないとすぐに鬱陶しくなってしまいます。
最初床屋の椅子に座る時は”椅子には足の踏み台とかもありうまく座れるだろうか?”と緊張しましたが、難なく座ることができました。
この体になってから初めて外のお店を利用した時は”理不尽な差別を受けるんだろうな”と思っていましたが、
お店の人はみんな優しく声をかけてくれ、”実は私も脳梗塞を患ったことがあります”と近所のインドカレー屋の店主が話しかけてくれたり、入り口のドアを開けてくれたりしました。
みんな優しいなあ、とその時は思っていました(実は差別はありましたがそのことはまた書きます)。
それと、別に旅行に行くわけではないのですが、自宅で宿泊することを”外泊”とこの病院では言っていました。
後述しますが、社労士の試験は外泊して受験しました。
この病院では365日訓練と聞いていたのですが、休日出勤のセラピストさん達が交代で訓練を行う土日は訓練時間も短く、病院に居ても仕方がないように思えたので退院する前1ヶ月くらいは週末は外泊するようにしていました。
日曜日の夕方に妻に送ってもらって病院に帰ります。子どもたちはビデオで”ドラえもん”を見ています。主題歌は夢のあるいい曲です。
僕は夢を実現するにはかなりハンデを負ってしまったが、子どもたちに夢を与えることはできるのだろうか、と考えると帰り道の夏の夕暮れの物悲しい情景と合わせて涙が出て止まりません。
退院間近になったこの頃から僕は「体の機能を回復させるのも重要だが、元通りの生活、いや体が動かなければ頭を使って元通り以上に面白く楽しい生活にすることが重要だ」と考えるようになりました。
その目標に向かって今も努力しています。