障害年金の申請③

昨日コストコに行った帰りに家族でとあるチェーンのラーメン屋さんに行ったときのことです。子どもにおもちゃがもらえるのでたまに行きます。
この手のラーメン屋は個別の席が確保されておりソーシャルディスタンスが保たれています。
僕は以前はラーメンが好きでこれが脳出血を発症した一因ではないかと妻には言われているのですが、倒れてからあれだけ好きだったラーメン屋にもあまり行かなくなりました。
意識的に避けているというのもあるのですが、食べても味の濃いものはあまり美味しいと感じません。
病気の影響で味覚が変わったのでしょうか?
このラーメン屋では有線であいみょんの「ハルノヒ」が掛かっていました。
この曲は以前単身赴任先の住居と家を週末に行き来していたときよく聞いていた曲で、
そのことを思い出して泣けてしまいました。
家族の幸せを願うお父さんを歌ったいい曲だと思います。あいみょん若い女性なのにたまにおっさんみたいな歌詞を書きます。
もともと涙もろいほうですが、病気してからひどくなりました。妻は歳のせいだと言いますが…。

 

そんなことはさておき、障害年金申請の話の続きです。前回までは長い前ふりで、今回は最後の実際の申請の話をします。
戸籍は僕の実家の所在地になっていますが少し遠いので、郵送で取り寄せることにしました。
実家の市のHPを見ると、市役所に代金(定額小為替)と返信用封筒と免許証のコピーと「障害年金の申請に使うので戸籍謄本送ってください(実際はもっと丁寧です念の為)」と書いた紙をを入れて送ると戸籍謄本を送ってくれるようです。
2周間ほどで戸籍謄本が送られてきました。
戸籍謄本と戸籍抄本は違うんですね。初めて知りました。
障害年金の申請に使う公的書類は無料で取れる、と教科書には書いてあったので、もしかしたら定額小為替はそのまま返送されるかも、と思いましたがそんなことはありませんでした。
障害年金専門の社労士にお願いするとこんなこまごまとしたこともやってくれるようです。

 

10月30日が認定日ですので、その日に合わせて主治医に診断書を書いてもらいました。
ちなみに診断書の日付は認定日以後3ヶ月であれば良いようです。
主治医はさすがプロで、テキパキと診断書を作ってゆきます(診断書のフォーマットをわざわざ持って行かなくともパソコン内にフォーマットが用意されていたようです)。
「手を上げてみてください」「手のひらを上に向けられますか?」「足を手前に引いてください」「つま先は上げられますか?」と細かく言いながら、主治医は分度器(?)のようなもので測定してゆきます。
最後に主治医から「toroさんの現在の肢体の状態を医師として客観的に記述した上で、障害年金をもらうための診断書を書きます。読んでショックを受けないでくださいね。」と言われました。
15分くらいの診察でしたが、仕上げるのにちょっと時間がかかるようで、後から郵送で送られてきましたが、主治医の「ショックを受けないでくださいね。」の理由は見て納得です。
「左手は廃用手に留まり」「廃用手」と「廃用」「廃用」そしてできることの欄には左手だけできの悪い通知表のような「×」のオンパレードで、「予後」欄には「今後改善の見込みは極めて乏しいと考える」と書いてありました。
想定の範囲内ですがちょっとショックです。でも不便なだけで不幸ではないと僕自身は思っていますので問題ありません。
不便をお金の力で解決する、そのための障害年金です。

 

病歴・就労状況等申立書(以下申立書)、これが診断書と並んで重要な書類になるようです。
ググると色々例が出てきますので(便利な時代です)、それを参考にしながら、時系列順に発症から現在までの身体の状況、どんな治療や診断、リハビリを受けたか、復職してどんな仕事をしているか、を書いてゆきます。
僕の場合はPCで日記をつけていたので楽でした。これをまとめるだけです。
色々調べると認定日にリハビリをしていると回復の見込みありということで認定は難しいようです。
ポイントですが、病名は診断書に合わせること、診断書ではわからない日常生活・仕事での不便さを訴えることでしょうか。
あとは独りよがりの文章にならないこと、できるだけ数字で客観的に示すこと(歩行速度が大幅に低下じゃなく50%低下とか)、会社で受けたロジカルシンキングセミナーで習った、MECE(漏れなく、ダブりなく)を意識して書きました。
最後に妻に読んでもらって理解できるか、論旨が通っているかをチェックしてもらって完成です。
会社の昇格論文を書いていたときのことを思い出してちょっと楽しかったです。
こういう論文(?)は第三者の赤の他人(妻)が読んでも膝を叩いて理解できるように書かなければなりません。

さて、書類を揃えて提出する目標の日が10月30日でしたが、「そういえば診断書は郵送するって言ってたけど、コロナ禍だけどあの病院は暇そうだし(失礼)10日位あればできるだろう」と思い直し、11月初旬に年金事務所に申し込みに行くことを決め、予約が取れた日に年休を取りました。
病院から診断書が郵送で届いたのが5日前でしたがセーフです。
診断書と申立書の病名(脳出血(右被殻))を合わせ、申立書の内容が診断書と矛盾がないか最終チェックしてからA3両面印刷して完成です。
日本年金機構のHPからダウンロードしたフォーマットはエクセルで、表面と裏面でシートが2つに分かれているのですが、こういう2つのシートをエクセルで両面印刷するのは初めてです。しかもこれが片手が不自由だと非常に難しい。
(今思い起こせば同一シートにコピーして普通に両面印刷すればよかった・・・。)

 

この回の窓口担当は最初に年金事務所に行ったときのいかにもカタブツのお役所にいそうで腕カバーが似合いそうな冷た…もといクールな女性の方でした。
いろいろな書類を言われるままに出しながら「妻や子どもの加給年金の支給要件をチェックするための書類などは必要ないのですか?所得証明書一応持ってきたのですが」と聞くと、(妻や子どもに所得が850万円以上あると加給年金は停止されます…。)
「はい、初回にお伝えした書類以外は不要です。マイナンバーが日本年金機構に登録されれば市町村と連携が取れますので。」と言われました。
子どもはまだ小さいので所得があるはずもなく不要だと思いますが、妻の場合は税理士で家で仕事をしていますので一応必要かと思ってもらっておいたのでしたが全くの杞憂でした。
確かに申請書にマイナンバー書いたよな、マイナンバー大活躍です!でもなぜか基礎年金番号も必要です…。不思議ですね。役所の縦割りがあるのか無いのか良く分かりませんね。
厚生労働省財務省は仲が悪そうですが…。

社労士だけど障害年金を全くやったことのない義母は「障害年金の書類出すときは窓口の担当者はいちいち奥の上司の所に行って確認したり窓口に戻ってきたりを都度繰り返すからものすごく時間がかかるらしいよ。1日覚悟しておいたほうがいい。」と言っていましたが僕の場合は(というかこの年金事務所の担当の場合は)そんなこともなく一人で無言で黙々とチェックしていました。
まず初診日の書類(”受診状況等証明書”)をくまなくチェックされ、診断書と申立書を左右に並べてそれこそ穴が開くほど比較して見つめられ、全くの無言でチェックされました。
銀縁眼鏡の向こうで目がギラギラと輝いています。こんなに書類をじっと見ている人は今まで生きてきた中ではいないと断言できます。プロ中のプロ。それくらい鬼気迫る迫力でした。
前回の社労士さんのように和やかな雰囲気は全くありません。少しでもアラがあったら問い詰めてやろう、という気迫がアリアリです。証人喚問、査問委員会、異端尋問、…。そんな言葉が連想されます。
いくつか質問されましたがその中で一番気になったのが、申立書を見て一言「車を運転されているんですね。」と言われたときドキッとしましたが、「はい、主治医と公安委員会に許可を頂いて運転しております。職場への通勤に使っております。」と正直に答えます。

 

「私の見る限り申請書類に不備はないようなので受付します。」と言われ、受付印の入った書類をもらいました。

おっ、一発オッケーか。胸をなでおろしてほっとします。

「でも、これから私がもう一度チェックしますし、今後私の上司のチェック、そして本部のチェックが入りますので何らかの疑義が生じた場合書面にてお問い合わせする場合もあります。」
と言われ、怖いな!、けどまあそうだろうなと納得します。
「電話では基本ご連絡しません。書面にてご連絡します。」簡潔ながらも有無を言わさない迫力があります。
「支給決定まで現在4ヶ月ほどお待ち頂いているようです。」実際は1ヶ月半でしたが。
「えっ、そんなにかかるんですか?」
「はい。老齢年金ですら現在3ヶ月ほど掛かっているようです。」コロナだし仕方ありません。日本年金機構の本部職員の方がテレワークをしているのか知りませんが、テレワークで紙の申請書類見るの難しいし。でも1ヶ月半でした。
これまた僕は現在でも日本年金機構内はサボタージュが横行してると勝手に思っていました。すごい業務効率化、すごいスピードです。労使の密約でキーボードで1日5000字以上打っちゃだめなんじゃないのか!
ここまで僕は日本年金機構について散々悪口を書きましたが、すみません僕の認識が間違っていました。
ここに謝罪して訂正します。
かつての社会保険庁とは全く異なるすばらしい組織に生まれ変わりました。末端のこんな場末(失礼)の年金事務所の窓口担当でも十分にプロ意識を持って仕事されています。
「車を運転しているんですね?」と聞かれたときこれは不支給か?と思いましたが大丈夫でした。
今更ながら「障害年金を受給するための診断書を書きました。」と断言した主治医は本物のプロでした。本当に感謝しています。
今回、窓口担当の方はじめ日本年機構の職員の皆様のような本物のプロはこの世界の至るところにいるんだなあと改めて実感しました。
僕の会社でもすごいプロフェッショナルな方はもちろんいるのですがおしなべてプロではなくオラオラ系の声が大きい方が出世するようです。
あっ、診断書も素晴らしいけど自分で書いた申立書の出来栄えがちょっとは良かったのだろうと密かに自画自賛しています。

 

これで障害年金の申請から受給までの話は一旦終わりです。障害年金の等級は「2級15号」で認定されました。
廃用手ですので、上肢の障害である「8号」かと思っていましたが、その他の身体障害である「15号」で認定されています。
装具をつけないととても歩けないので、上肢下肢のトータルで認定されたということでしょうか。
また、逃げ口上になってしまいますが、これを見て「ようし、こいつができるならいっちょ自分でやってみようか」と思われた方にはあまりおすすめしません。
素直に障害年金専門の社労士に相談されたほうがいいと思います。
僕の場合色々運がよく受給できただけにすぎない、と思っています。
3つの条件、主治医がきちんとした診断書を書いてくれたこと、初診日がきっちりわかっていて書類を簡単にもらえたこと、障害年金の要件のみならず法律の条文も社労士の勉強で死ぬほど読み込んでいて窓口の申込みの本番でもアドリブが効いたこと(もちろん、ここで書いてないこともいっぱいありました)が功を奏したと、が良かったと思っています。
妻は「社労士になるなら障害年金も扱う社労士もいいかもね。自分で障害年金を受給してるって言ったら結構なセールストークじゃない?」と言ってくれますが、
きっちり数字とできるできないの◯×で判断する身体障害とは異なり、数字で表すのが難しい精神障害も扱わなきゃいけないしものすごく大変だよなぁと思っていますのでその道は現時点で考えていません。
そう考えると障害年金専門の社労士の2ヶ月分の成功報酬って物凄くバーゲンセールだと思います。

 

次回の診断書の提出期限は3年後です。主治医もいつまでも見てくれるか分かりませんのでぼちぼち探し始めたいと思いますが、どう探せばいいんでしょうか?TMSをやってる脳神経外科の先生にお願いしてみようかな?

ちょうどこれで5000文字くらいです。昔の社会保険庁の労使の密約によるともう仕事はしなくて良い(しつこい)ので、年末年始はのんびりと過ごします。